ら抜き言葉は文法上間違いです
結論、ら抜き言葉は、日本語の文法上間違いとされます。
いわゆる「ら抜き言葉」とは可能の意味の「見られる」「来られる」等を「見れる」「来れる」のように言う言い方のこと
引用:ア いわゆる「ら抜き言葉」|文化庁
可能の意味合いで使う助動詞「られる」の「ら」を抜いた言葉を「ら抜き言葉」といいます。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
「見・られる」→「見・れる」
「食べ・られる」→「食べ・れる」
「来・られる」→「来・れる」
ら抜き言葉について理解するには、本来どの動詞に「られる」がつくべきであり、どの動詞に「れる」がつくべきであるかについて理解する必要があります。
「られる」がつくべき動詞とは?
「られる」という助動詞は、上一段活用・下一段活用・カ行変格活用の動詞の未然形(語尾に「〜ない」をつけた時の活用形)につきます。
例:
来られる(「来る」はカ行変格活用)
見られる(「見る」は上一段活用)
出られる(「出る」は下一段活用)
食べられる(「食べる」は下一段活用)
つまり、ら抜き言葉を気にしなければならないのは、本来は「られる」がつくべきである、上一段活用・下一段活用・カ行変格活用の動詞だということです。
一方で「れる」という助動詞は、五段活用とサ行変格活用の動詞の未然形(語尾に「〜ない」をつけた時の活用形)につきます
例:
書かれる(「書く」は五段活用)
取られる(「取る」は五段活用)
飲まれる(「飲む」は五段活用)
つまり、「書か・れる」という表現があったとしても、それはら抜き言葉にはならないということです。
ら抜き言葉の見分け方
上述の通り、一見ら抜き言葉に見えても、それは文法上正しい可能動詞である可能性もあります。
ら抜き言葉にあたるのは、上一段活用・下一段活用・カ行変格活用の動詞につく「られる」という助動詞の「ら」が省略されたものです。
そこで、上一段活用・下一段活用・カ行変格活用の動詞を見分ける方法をご紹介します。
上一段活用の動詞
以下のように活用する動詞が、上一段活用です。
未然形(〜ない) | イ |
連用形(〜ます) | イ |
終止形(言い切り) | イる |
連体形(とき、こと) | イれ |
仮定形(ば) | イれ |
命令形(命令して言い切り) | イろ |
語尾に〜ないをつけて「〜イない」(例:起きない)となるものは、上一段活用です。
よって、起きるという動詞には「られる」がつくため、「起きれる」はら抜き言葉となり、文法上誤りです。
下一段活用の動詞
以下のように活用する動詞が、下一段活用です。
未然形(〜ない) | エ |
連用形(〜ます) | エ |
終止形(言い切り) | エる |
連体形(とき、こと) | エる |
仮定形(ば) | エれ |
命令形(命令して言い切り) | エろ、エよ |
語尾に〜ないをつけて「〜エない」(例:食べない)となるものは、下一段活用です。
例えば、食べるという動詞には「られる」がつくため、「食べれる」はら抜き言葉となり、文法上誤りです。
カ行変格活用の動詞
カ行変格活用は「来る」だけの特殊な活用形ですので、可能の意味で使う「来れる」はら抜き言葉だと判断しましょう。
ではおさらいです。
ら抜き言葉を気を付けるべき動詞は・・・
上一段・下一段・カ行変格活用の動詞
・語尾に「〜ない」をつけたときに「イ」「エ」に変化する動詞は上一段または下一段
・カ行変格活用は「来る」のみ
ら抜き言葉は使うべきではない?
文章を書くことを生業としているのであれば、ら抜き言葉は使うべきではないでといえます。
ただし、言葉は「なまもの」ともいわれ、時代の流れに沿って変化していくものです。
文化庁のHPでも以下のような記載がみられます。
話し言葉では認めてもよいのではないかという考え方もある。書き言葉においても分野によってはその使用例が報告されている。
(略)
また,近年は東京語自体も様々な地域の言葉の流入によって変化しており,「ら抜き言葉」の方がリズムやスピード感があってよいとする声もあること。
引用:ア いわゆる「ら抜き言葉」|文化庁
つまり、正式に認められるものではないものの、ら抜き言葉の方がリズムが良い、使いやすいなどのニーズも一定数あり、今後の変貌を見守って行く必要はあるということです。
ぜひみなさんも、言葉の変化を楽しみながら、その時代に合った正しいかつ読みやすい文章を追求してみてはいかがでしょうか。